美と健康

なぜ日本人女性のスポーツ実施率は低いのか

女性にはそれぞれの年代に、体の変化にともなう特有の健康問題があります。こうした健康課題の中には、適度な運動習慣を身に着けることで予防できるものもあることはご存知でしょうか。
20~40代はまだ健康課題を実感しにくい時期ではありますが、生涯にわたって健康に過ごすためには、若いうちから準備をしておく必要があるとされています。しかし、日本では20代~40代を中心とした女性のスポーツ実施率が特に低い状況にあることがわかっています。

参考:スポーツを通じた女性の活躍促進のための現状把握調査報告書 スポーツ庁(2017)

女性の回答割合が高いものとして、下記が挙げられます。

  • 前年比で運動、スポーツの実施頻度の減少、または増やせない理由
    「面倒くさいから」「子どもに手がかかるから」「運動、スポーツが嫌いだから」
  • 運動、スポーツが嫌いな理由
    「苦手だから」(「時間をとられるから」、「実施する意味・価値を感じないから」は男性の割合が高い)
  • 運動、スポーツがもたらす価値
    男女問わず「健康、体力の保持増進」74.4%と最も高く、他には「人と人との交流」や「達成感の獲得」など

「体力に不安がある」、運動不足を「感じる」とする女性の割合は高くなっており、現在の運動・スポーツ実施状況の満足度については、20代、30代の女性が「もっとやりたいと思う」の割合は6割を超えています。運動やスポーツが健康へもたらす影響については多くの人が認識していることがわかり、若い女性の運動やスポーツに対するニーズは高いことが、この調査により明らかとなっています。

参考:スポーツの実施状況等に関する世論調査 スポーツ庁
参考:令和元年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について(令和元年2月27日発表)

そんな中、スポーツの実施を促進、阻害する要因は様々ですが、特に女性への影響が大きいと思われるものについて、以下のようにポイントが整理されています。

  • ポイント1)ライフステージ上の制約に起因する阻害要因
    日本人の仕事・家事など社会生活を営む上で義務的な性格が強い行動の時間配分を分析すると、女性が家事・育児に費やした時間は男性が同様の活動を実施した時間と比較して明らかに長い。このことから、女性は自由に使うことができる時間の確保が男性よりも困難であることが示唆される。
  • ポイント2)過去のスポーツ経験に起因する阻害要因
    スポーツ実施の阻害要因として「苦手だから」を挙げる女性の割合は男性よりも高く、日本では特に過去の運動経験が女性のスポーツに対する苦手意識に影響している可能性が示唆される。
  • ポイント3)女性らしさに関する社会の考え方に起因する阻害要因
    「スポーツをする女性」に対するイメージと「女性らしさ」に対する社会的な価値判断とのギャップは、女性の社会進出が不十分な日本においてはより深刻である可能性がある。Sport England(2015) “Go Where Women Are”では、周囲に「評価されることへの不安」が女性スポーツの主要な阻害要因であったと結論付けられている。

参考:スポーツを通じた女性の活躍促進のための現状把握調査

このような調査をみていくと、女性が「運動・スポーツ」から切り離されるべくして、切り離されている様な社会構造について考えずにはいられません。これは女性だけに言えることではなく、日本に住む多くの人達が、様々な社会的な要因によって「健康に生きていく機会が奪われている」可能性があると言えるのではないでしょうか。「これまでの常識を疑うことから始める」社会的インパクトのある事業や取り組みが、今後更に求められているのではないかと考えます。

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